郵便物の取戻し請求とは?できる条件・手数料・やり方を元郵便局員が解説

郵便物の取戻し請求とは?できる条件・手数料・やり方を元郵便局員が解説

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この記事では 郵便物の取戻し請求ができる条件・手数料・実際のやり方について、元郵便局員が解説しています。

葉書野 ウラ

ポストに入れた直後に「あて先を間違えた」「入れる中身を取り違えた」と気づくことがあります。配達される前なら、差出人は郵便物を取り戻せます。元郵便局員として、できる条件・手数料・窓口での進め方を解説します。

郵便物の取戻し請求とは?差出人だけができる「配達前の呼び戻し」

取戻し請求とは、差し出した郵便物が受取人に配達される前に、差出人が郵便局に返してもらう手続きです。内国郵便約款の第83条に定められた正式なサービスで、あて名だけを書き換える「あて名変更」と同じ条文で扱われます。

(あて名変更及び取戻し)
第83条 郵便物の差出人は、その郵便物の配達前又は交付前に限り、あて名の変更又は取戻しを請求することができます。
2 前項の請求は、料金表で定める額の手数料を添えて、差出事業所、集配事業所又は当社が別に定める事業所にこれをしていただきます。
内国郵便約款より引用)

この条文から、押さえるべき点は2つです。

  • 請求できるのは差出人だけです。受取人からは手続きできません。日本郵便の公式Q&Aにも「受取人さまからはお手続きいただけません」と明記されています。
  • 配達前・交付前に限ります。受取人の手に渡ったあと、または郵便局の窓口で受取人に交付されたあとは、取り戻せません。

あて先を間違えた郵便物を「相手に届く前に止める」ための、実質的に最後の手段です(日本郵便「あて名やあて先を間違えて(書き忘れて)出してしまったため変更したいのですが、どうしたらいいですか?」)。

注意
フリマアプリやECサイトの「e発送サービス」で発送したものは、郵便局の窓口では手続きできません。各ECサイト側へ問い合わせる必要があります(日本郵便公式Q&Aに明記・2026年8月時点)。

手数料はいくら?請求するタイミングで無料・550円・750円に変わる

取戻しの手数料は一律ではありません。郵便物がどこまで進んでいるかどの郵便局に請求するかで3段階に変わります。ここが取戻し請求でいちばん誤解されるところなので、時間軸で整理します。

取戻し手数料は請求するタイミングで変わる差出局で発送準備が終わる前に差出局へ請求すれば無料、発送後の輸送中は750円、配達する郵便局に届いたあとはその局へ請求して550円、配達・交付が終わったあとは請求できない。手数料は請求するタイミングで変わるポスト投函・窓口で差し出したあとの流れ① 差出局で発送準備が終わる前請求先=差し出した郵便局無料② 発送されて輸送中請求先=差出局や集配局(配達局以外)(約款の区分では「それ以外すべて」)750円③ 配達する郵便局に届いたあと請求先=配達を担当する郵便局550円④ 配達・交付が終わったあと取戻しの請求はできません不可※郵便物・ゆうパケット・ゆうメールの額(2026年8月時点)

いちばん安いのは「差し出した郵便局で、まだ発送準備が終わっていないうち」に請求する場合で、手数料は無料です。逆に、輸送に乗ってしまうと750円かかり、配達局まで進むと550円に下がります。「先に進んだほうが安い」という直感に反する並びになっているのは、配達局に届いたあとはその局に直接止めてもらえばよく、追跡の手間が減るためです。

葉書野 ウラ

窓口での実務から言うと、いちばん現実的なのは気づいた瞬間に差し出した郵便局へ電話することです。発送準備が終わる前に間に合えば手数料はかかりません。時間が経つほど手数料が発生し、配達されてしまえばゼロ円でも取り戻せなくなります。
2026年10月1日の運賃改定について
日本郵便の運賃改定(2026年10月1日実施)では、あて名変更・取戻しの手数料(無料/550円/750円)は改定の対象外です(対象はゆうパック・ゆうパケットの基本運賃、クリックポスト、ゆうパック包装用品などです)。ただし、取り戻したゆうパックを2026年10月1日以降に出し直す場合は、改定後の新しい運賃がかかります。

「差し出した郵便局」はどこ?ポストに投函した場合の考え方

取戻し請求は「差出事業所・集配事業所または支社が指定した事業所」に対して行います(約款第83条第2項)。窓口で差し出したなら迷いませんが、ポストに投函した場合の「差出局」は、そのポストの取集を担当する集配郵便局になります。

「差し出した郵便局」はどこになるか窓口で差し出した場合はその郵便局がそのまま差出局になる。ポストに投函した場合は、そのポストの取集を担当する集配郵便局が差出局になる。「差し出した郵便局」はどこになるか窓口で差し出したその郵便局がそのまま「差出局」ポストに投函したそのポストの取集を担当する集配郵便局が「差出局」※分からないときは最寄りの集配郵便局に聞いてください

ポストの取集局が分からなくても大丈夫です。最寄りの集配郵便局に「〇〇の場所にあるポストに入れた」と伝えれば、どの局が担当かを調べてもらえます。郵便局の所在地・電話番号は日本郵便の郵便局をさがすページで検索できます。

補足
書留やゆうパックなど追跡番号のあるものを出した場合は、先に追跡サービスで現在地を確認してから請求先を決めると早いです。ゆうパックの追跡方法はゆうパックは追跡できる?追跡する方法を解説します!で解説しています。

取戻し請求のやり方【手順】

手続きは郵便局の窓口で行います。電話は「間に合うかどうかの確認」と「発送を止めてもらう連絡」までで、正式な請求は窓口で行うのが確実です。

  1. 差し出した郵便局(または集配郵便局)へ電話する。「〇月〇日に差し出した郵便物を取り戻したい」と伝えます。まだ発送準備中なら、その場で止めてもらえます。
  2. 郵便物を特定できる情報を伝える。差し出した日時・投函したポストの場所・あて名・封筒の色や大きさ・差出人名など。追跡番号があればそれだけで特定できます。
  3. 窓口へ行き、備え付けの請求書に記入する。本人確認書類を持参します。
  4. 手数料を支払う。無料・550円・750円のいずれかです(郵便物の場合)。
  5. 郵便物を受け取る。すでに輸送に乗っている場合は、差出人のもとへ返送されるまで日数がかかります。

窓口に持っていくもの

  • 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
  • 手数料(現金のほか、郵便切手でも支払えます)
  • 追跡番号の控え(書留・ゆうパックなどを差し出した場合)

荷物(ゆうパック・ゆうパケット・ゆうメール)については、日本郵便の「ゆうパック・ゆうパケット・ゆうメールご利用案内」に「正当な荷送人さまであることを確認するために本人確認ができる証明資料、委任状その他によって確認させていただくことがあります」と明記されています。郵便物でも考え方は同じなので、身分証は必ず持っていってください。

「取戻請求書」の様式はダウンロードできる?

公式にダウンロードできる「取戻請求書」の様式はありません。日本郵便が公開している「各種請求書類等様式集(内国郵便関係)」には様式1から様式70まで掲載されていますが、そこに取戻請求書は含まれていません(掲載されているのは第三種郵便物差出票・料金後納承認請求書・転居届などです)。窓口に備え付けの用紙に記入する形になりますので、事前に印刷して持っていく必要はありません。

サービス別の手数料一覧【2026年8月時点】

手数料は郵便物と荷物で扱いが違います。とくにゆうパックだけは金額が決まっておらず「実費」です。

サービスあて名変更・取戻しの手数料
郵便物
手紙・はがき・レターパック・書留など
差出局で発送準備完了前=無料/配達する郵便局に請求=550円/それ以外=750円
ゆうパケット
ゆうメール
郵便物と同じ
無料/550円/750円
ゆうパック実費
定額は定められていません
国際郵便
EMS・国際小包など
差出(国際郵便交換局)で発送準備完了前=無料/それ以降=680円
あて先の国とサービスによっては請求できません

※料金は2026年8月時点です。郵便物の額は日本郵便の国内の料金表(手数料)、荷物の額はゆうパック・ゆうパケット・ゆうメールご利用案内(2026年8月3日現在)、国際郵便の額は日本郵便「すでに出した郵便物を戻したいのですが?」に記載されています。

ゆうパックの「実費」というのは、その荷物を止めて差出人のところへ戻すのに実際にかかった費用という意味です。荷物がどこまで進んでいるかで変わるため、公式にも定額が示されていません。金額は請求する時点で郵便局が計算します。

取り戻しても、払った郵便料金は戻ってこない

取戻し請求で郵便物が戻ってきても、最初に貼った切手や支払った郵便料金は返ってきません。内国郵便約款第66条は料金を返還する場合を11項目にわたって列挙していますが、そこに「取戻しをしたとき」は含まれていないためです。

つまり、輸送中に取り戻すと「最初の郵便料金」+「取戻しの手数料750円」+「出し直しの郵便料金」がかかります。定形郵便を1通出し直す料金は110円、はがきは85円(2026年8月時点)ですから、金額だけを見ると次のようになります。

取戻し手数料と、出し直す料金を同じ縮尺で並べる配達局以外に請求した取戻しは750円、配達局への請求は550円。これに対して定形郵便を1通出し直すと110円、はがきは85円で、取戻し手数料のほうが大幅に高い。取戻し手数料と、出し直す料金を同じ縮尺で並べる配達局以外の郵便局に請求(取戻し)750円配達する郵便局に請求(取戻し)550円定形郵便をもう1通出し直す110円はがきをもう1枚出し直す85円※出し直しても、間違えた郵便物が届くのは止められません

ただし、この比較で「出し直したほうが得」と決めてはいけません。出し直しは「正しい郵便物をもう1通送る」だけで、間違えた郵便物が相手に届くこと自体は止められないからです。判断の基準はシンプルです。

  • 間違った郵便物が相手に届くと困る(書き間違いを見られたくない・別人の書類を入れてしまった・個人情報が入っている)→ 取戻し請求をする
  • 届いても実害がなく、正しいものを追加で送れば足りる(宛名の敬称漏れ・同封し忘れ)→ もう1通出すほうが早くて安い

葉書野 ウラ

「中身を取り違えた」「別の人の書類が入っている」という相談は、迷わず取戻し請求です。手数料750円は、相手に届いてしまったあとの対応にかかる手間と比べれば安いものです。

取り戻せなかったときにできること

配達が終わってしまった場合、郵便局にできることはありません。ここから先は差出人と受取人のあいだの話になります。

  • 受取人に連絡して事情を説明し、開封せずに返送してもらう(受取人が郵便局に「受取拒否」を申し出る方法は、すでに受け取ったあとには使えません)
  • 誤って別人あてに届いてしまった場合は、その郵便物を受け取った人に郵便局へ連絡してもらうか、未開封のまま「誤配」として近くのポストに投函してもらう

差出人に戻ってきた郵便物は、そのまま出し直せる?

取戻しや返還で手元に戻ってきた郵便物は、条件を満たせば出し直せます。

  • はがきの場合:内国郵便約款第26条により、表面の見やすい所に赤字で「再差出し」と書き、新たに料金分の切手を貼れば再び差し出せます。もとの切手(料額印面)は使えません。
  • 封書の場合:新しい封筒に入れ替えて、あらためて切手を貼って差し出します。
補足
あて先の住所に受取人が住んでいないなどの理由で戻ってきた場合の対処は、「あて所に尋ねあたりません」の意味と再送方法を元郵便局員が解説で詳しく解説しています。

よくある質問

葉書野 ウラ

「取戻し請求」に関するよくある質問と回答です。

取戻し請求は電話だけで完結しますか?

電話は「発送を止めてもらう連絡」までです。正式な請求は窓口で請求書に記入し、手数料を支払って行います。ただし発送準備が終わる前に電話が間に合えば、そのまま差出局で保留してもらえるので、慌てて窓口へ走る必要はありません。まず電話してください。

 

受取人が「受け取りたくないので取り戻してほしい」と頼めますか?

できません。取戻し請求ができるのは差出人だけです。日本郵便の公式Q&Aにも「受取人さまからはお手続きいただけません」と明記されています。受取人の立場でできるのは、配達時または窓口交付時に受取拒否をすることです。

 

取り戻すのにどれくらい日数がかかりますか?

差出局で発送準備が終わる前に止められた場合は、その日のうちに窓口で受け取れます。すでに輸送に乗っている場合は、郵便物を探し出して差出人のもとへ返送する日数がかかります。あて先が遠いほど日数がかかると考えてください。急ぐなら、輸送に乗る前に電話するのが唯一の近道です。

 

手数料は切手で払えますか?

払えます。内国郵便約款第60条の注に、あて名変更料及び取戻し料が郵便切手・現金による支払の対象手数料として挙げられています(同条は証紙による代替支払を定める条文です)。

 

ゆうパックの取戻し手数料はいくらですか?

ゆうパックだけは「実費」で、定額が定められていません。日本郵便の「ゆうパック・ゆうパケット・ゆうメールご利用案内」でも、ゆうパケット・ゆうメールは無料/550円/750円と金額が示されている一方、ゆうパックの欄は「実費」とだけ記載されています。金額は請求する時点で郵便局が計算します。

 

海外あての郵便物も取り戻せますか?

差出(国際郵便交換局)で発送準備が完了する前であれば取り戻せます(手数料は無料)。それ以降は680円の手数料がかかり、郵便物の種類とあて先の国によっては請求そのものができません。国別の条件は日本郵便の国際郵便条件表で確認できます。

 

同じあて先に2通同時に出しました。片方だけ取り戻せますか?

同時配達とする郵便物の一方について取戻しを請求すると、もう一方についても同じ請求があったものとみなされます(内国郵便約款第84条)。片方だけを残すことはできません。

 

取戻し請求をすれば、払った郵便料金は返ってきますか?

返ってきません。内国郵便約款第66条が定める「料金の返還」の対象に、取戻しは含まれていないためです。取戻しの手数料も別途かかります。

 

郵便物の取戻し請求のまとめ

  • 取戻し請求ができるのは差出人だけで、配達前・交付前に限られる(内国郵便約款第83条)
  • 手数料は差出局で発送準備完了前なら無料/配達する郵便局に請求すると550円/それ以外は750円(2026年8月時点)
  • ゆうパケット・ゆうメールは郵便物と同額。ゆうパックだけは「実費」で定額が無い
  • 国際郵便は発送準備完了前なら無料、以降は680円。国とサービスによっては請求できない
  • ポスト投函の場合、請求先はそのポストの取集を担当する集配郵便局
  • 公式にダウンロードできる取戻請求書の様式は無い。窓口備え付けの用紙に記入する
  • 払った郵便料金は戻らない(約款第66条の返還対象に取戻しは含まれない)
  • 2026年10月1日の運賃改定で、取戻しの手数料は変わらない

葉書野 ウラ

取戻し請求は、気づいたらすぐ動くほど安く、確実になります。手数料の心配より先に、差し出した郵便局へ電話してください。参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

葉書野 ウラ元郵便局員

元郵便局員が今までの経験と知識を元に、郵便関連の情報をバカ真面目に解説してます。

得意分野 — 郵便/ゆうパック/レターパック/国際郵便/梱包/切手