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葉書野 ウラ
還付不能郵便とは?配達も差出人への返還もできない郵便物
還付不能郵便とは、あて先に配達できず、しかも差出人にも返せない郵便物のことです。法令上の言い方は「還付不能の郵便物」です。これは郵便法第41条の見出しがそのまま用語になっています。
ここでいう「会社」は日本郵便株式会社のことです。つまり還付不能郵便は、「差出人に返すべきなのに、返す先が分からない郵便物」を指します。差出人不明の郵便物がそのあとどうなるのかは、同じ第41条の第2項から第4項に書かれています(この記事の後半で表にしました)。
「還付」と「還付不能」はどう違う?
還付は、あて先に配達できなかった郵便物を差出人に返すことです。郵便法第40条が「受取人に交付することができない郵便物は、これを差出人に還付する。」と定めています。
この還付が成立しなかった状態が還付不能です。あて先の不備だけなら差出人に戻って終わりますが、差出人の記載まで無いと戻る先が無くなります。還付不能は、「あて先」の不備と「差出人の記載漏れ」が重なったときに起きるのが典型です。ただし郵便法第41条は差出人側を「差出人不明その他の事由」としており、記載漏れ以外の事由も含まれます。
郵便法は「還付」、内国郵便約款は「返還」と書く
同じことを指しているのに、読む資料によって言葉が変わります。郵便法は「還付」、日本郵便の内国郵便約款は「返還」です。検索して出てくる情報がちぐはぐに見えるのは、この用語の違いが原因です。
| 用語と出どころ | 意味 |
|---|---|
| 還付 郵便法第40条 | 配達できない郵便物を差出人に返すこと |
| 還付不能 郵便法第41条 | 差出人不明などで還付できないこと |
| 返還 内国郵便約款 第87条 | 約款での言い方。還付と同じ意味 |
※出典は郵便法および内国郵便約款(PDF・2026年8月8日最近改正)。「還付不能郵便物」「配達不能郵便」という書き方も見かけますが、法令が使っているのは「還付不能の郵便物」です。
還付不能になる主な原因は、差出人の住所・氏名が書かれていないこと
あて先の書き間違い・転居・表記のかすれといった事情は、どれも「還付になる理由」であって、還付不能の原因ではありません。還付不能まで進む主な原因は、差出人の住所と氏名が書かれていないことです。差出人さえ読み取れれば、郵便法第40条のとおり差出人に戻ります。なお条文は「差出人不明その他の事由により還付することができないもの」としており、記載漏れ以外の事由も含まれます。
フリマアプリの取引などで、普通郵便に差出人を書かずに商品を送る出し方があります。この出し方をすると、あて先に不備があったときに戻る先が無くなり、還付不能の郵便物になります。差出人の住所と氏名を書いておけば、あて先に不備があっても戻る先が残ります。
還付不能郵便の保管期間は3か月。有価物と売却代金は1年
還付不能郵便の保管期間は中身によって2通りあります。郵便法第41条第2項から第4項が定めています。
内国郵便約款も第92条(返還できない郵便物の取扱い)で同じ内容を定めており、こちらは表の形にまとめられています。
| 保管された郵便物 | 期限とその後 |
|---|---|
| 有価物でないもの | 保管開始日から3か月。請求がなければ棄却 |
| 有価物で 滅失・き損のおそれがあるもの/保管に過分の費用を要するもの | 直ちに売却。代金の1割を手数料に充て残額を保管 |
| 売却されなかった有価物/保管された売却代金 | 保管開始日から1年。請求がなければ日本郵便に帰属 |
※出典は郵便法第41条および内国郵便約款第92条(PDF)。2026年9月時点。
期限の起算日は「保管を開始した日」
3か月も1年も、差し出した日でも、配達できなかった日でもありません。条文はどちらも「その保管を開始した日から」と書いています。条文の順序では、開いてもなお配達も還付もできないと分かって保管が始まったところから数えます。
「棄却」「売却」「会社に帰属」の意味
- 棄却/有価物でないものを、3か月以内に交付を請求する者がないときに処分すること。条文の言葉は「破棄」ではなく棄却です
- 売却/有価物のうち、傷んだり無くなったりするおそれがあるもの、保管に過分の費用がかかるものが対象。「直ちに」売却すると書かれており、3か月待つわけではありません
- 会社に帰属/1年以内に交付を請求する者がないときに、売却されなかった有価物と売却代金の権利が日本郵便のものになるということです
なお「有価物」が何を指すのかを定義した規定は、郵便法にも内国郵便約款にも見当たりません。約款が定義しているのは「現金等」=「現金及び当社が定める有価証券」(第3条)という別の用語です。
還付不能郵便の問い合わせ先|調査のお申し出は3つの方法
心当たりの郵便物があるときは、日本郵便の調査制度を使います。日本郵便の公式Q&Aは、届くはずの郵便物が届かないときの窓口をこう案内しています。
受け付けの入り口は3つあります。急ぐなら窓口か電話、手元で完結させたいならインターネットです。
| 申し出の方法 | 受付・注意点 |
|---|---|
| インターネット | 調査のお申出から。国際郵便を除く |
| 電話 | お客様サービス相談センター。番号と受付時間は下のとおり |
| 郵便局の窓口 | 最寄りの郵便局へ相談。急ぐときはこちら |
インターネットの「郵便事故のお申出」で受け付けてもらえること
日本郵便の申告受付ページは、対象と流れをこう説明しています。
同じページは「差し出された日、場所など郵便物等の差し出し状況についての詳細がご不明の場合または、国際郵便についてはお近くの郵便局にお申し出ください。」とも書いています。差出日や差し出した場所が思い出せないときは、インターネットではなく窓口を選んでください。申し出たあとの調査状況は、同じページの照会画面から確認できます。
申し出るときに整理しておくとよいこと
- 差し出した日と差し出した場所(郵便窓口か、ポストか)
- あて先の住所・氏名(書いた内容をそのまま)
- 差出人として書いた内容(書かなかったならその旨)
- 封筒や箱の形・色・大きさ、貼った切手や料金
- 中身が何だったか
インターネットのお申し出は「お申し出いただいたお客さまの住所の配達を受け持つ」郵便局が受付担当になります。自分の住所を受け持つ集配郵便局がどこかは、下記の記事から調べられます。
参考
還付不能にしないための差出人(還付先)の書き方
還付不能郵便を防ぐいちばん確実な方法は、差出人の住所と氏名を書くことです。あて先を間違えても、差出人が読み取れれば郵便法第40条のとおり手元に戻ります。ただし郵便法第41条は「差出人不明その他の事由」としているので、これですべての還付不能を防げるわけではありません。
「還付先」とは差出人の住所・氏名のこと
還付先とは、郵便物を返す先=差出人の住所と氏名のことです。検索ではこの言い方をされることがありますが、郵便法にも内国郵便約款にも「還付先」という用語はありません。法令が使うのは「差出人」です(郵便法第40条・第41条)。「還付先を書く」=「差出人の住所と氏名を書く」と読み替えて差し支えありません。
郵便物は記載を求める定めが見当たらない。ゆうパックは必要
ここは扱いが分かれます。手紙やはがき(郵便物)について、差出人の住所・氏名の記載を求める定めは、郵便法にも内国郵便約款にも見当たりません。約款第3条が定義しているのは「あて名=郵便物の受取人の氏名及び住所又は居所」であって、差出人ではありません。
一方ゆうパックは記載が必要です。日本郵便の公式Q&Aが理由まで書いています。
| 送るもの | 差出人(荷送人)の記載 |
|---|---|
| 郵便物 手紙・はがき | 求める定めが見当たらない(郵便法・約款) |
| ゆうパック | 必要。氏名・住所・電話番号・郵便番号 |
※郵便物は、差出人を書かなくても差し出せてしまいます。だからこそ、あて先に不備があったときに戻る先が無くなり、還付不能の郵便物になります。ゆうパックは記載がないと引受けを断られる場合があると公式Q&Aが明記しています。
よくある質問と回答
葉書野 ウラ
還付不能郵便の保管期間はどれくらいですか?
有価物でないものは、保管を開始した日から3か月です。3か月以内に交付を請求する人がいなければ棄却されます(郵便法第41条第3項)。売却されなかった有価物と、売却代金は1年で、こちらも1年以内に交付を請求する人がいなければ日本郵便に帰属します(同条第4項)。
還付不能郵便はどこに問い合わせればいいですか?
最寄りの郵便局です。日本郵便の公式Q&Aは「調査制度がありますので、最寄りの郵便局へご相談ください。」と案内しています。国内あての郵便物ならインターネットのお申出も使えます。電話は0120-23-28-86(固定電話から・全日8:00〜21:00)です。
調査にはどれくらい時間がかかりますか?
所要日数は公表されていません。日本郵便が示しているのは「郵便物等の流れに沿って関係する郵便局を調査し、その結果をお知らせします」という手順までで、何日で終わるという定めは公式ページにも約款にも見当たりません。インターネットで申し出た場合は、同じサイトの照会画面で調査状況を確認できます。
還付不能郵便は、開けられてしまうのですか?
開くことができる、と法律に書かれています。郵便法第41条第1項は「差出人に還付すべき郵便物で、差出人不明その他の事由により還付することができないものは、会社において、これを開くことができる。」と定めています。あて先か差出人が分かれば、配達または還付されます。分からなければ第2項により保管されます。
差出人を書かないのは違法ですか?
手紙やはがきについて、差出人の記載を求める定めは郵便法にも内国郵便約款にも見当たりません。ただしゆうパックは別で、日本郵便は「荷送人の氏名、住所、電話番号、郵便番号は記載していただく必要があります。記載がない場合お引受けをお断りする場合があります。」としています。
差出人を書き忘れて出したことに気づきました。どうすればいいですか?
差し出した郵便局か最寄りの集配郵便局に相談してください。郵便法第34条は、差出人が「当該郵便物の配達前又は交付前に限り、郵便約款の定めるところにより、あて名の変更又は取戻しを請求することができる。」と定めています(e-Gov法令検索「郵便法」第34条・2026年9月時点)。配達も交付も終わったあとはこの請求ができないので、そのときは前述の調査のお申し出に切り替えてください。なお日本郵便は「受取人さまからはお手続きいただけません。」としています(公式Q&A・あて名やあて先を間違えて出した場合)。
「有価物」とは何を指しますか?
定義した規定は見当たりません。郵便法第41条は「有価物」という言葉を使いますが、その意味を定めた条文も見当たりません。内国郵便約款が定義しているのは「現金等」=「現金及び当社が定める有価証券」(第3条)という別の用語です。
「還付不能郵便物」「配達不能郵便」と呼び方が違うのはなぜですか?
法令の言葉と、日常の言い方が混ざっているためです。郵便法第41条の見出しは「還付不能の郵便物」、内国郵便約款第92条の見出しは「返還できない郵便物の取扱い」です。日本郵便の公式ページで、これらを一般向けに解説したページは見当たりません。
還付不能郵便のまとめ
- 還付不能郵便=あて先に配達できず、差出人にも返せない郵便物。郵便法第41条の見出し「還付不能の郵便物」がそのまま用語
- 郵便法は「還付」、内国郵便約款は「返還」と書く。指しているものは同じ
- 主な原因は差出人の住所・氏名が書かれていないこと。あて先の不備だけなら差出人に戻る(郵便法第40条)。ただし条文は「差出人不明その他の事由」としており、記載漏れ以外の事由も含まれる
- 日本郵便はこれを開くことができる(第41条第1項)。開いて届け先が分かれば配達または還付される
- 保管期間は有価物でないもの3か月、売却されなかった有価物と売却代金は1年。いずれも期限内に交付を請求する者がないときにそれぞれ棄却/日本郵便に帰属となる。起算日はどちらも保管を開始した日
- 傷むおそれのある有価物などは3か月を待たずに直ちに売却される
- 問い合わせは最寄りの郵便局が基本。インターネットのお申出と電話0120-23-28-86(全日8:00〜21:00)も使える
- 手紙・はがきに差出人の記載を求める定めは見当たらないが、ゆうパックは氏名・住所・電話番号・郵便番号が必要
葉書野 ウラ









