配達も差出人への返還も出来ない「還付不能郵便」について解説

この記事では
還付不能郵便について
解説しています。
[prpsay img=”https://stamp.yuubinya.com/wp-content/uploads/2019/10/huki-talk.png” name=”葉書野 ウラ”]あて先の書き間違いや差出人の書き忘れなど、理由は色々あると思いますが、配達も差出人返還も出来ない「還付不能郵便」の対応について元郵便局員が解説します。[/prpsay]

還付不能郵便とは?

還付不能郵便とは、わかりやすい言い方をすれば「迷子郵便」です。
何らかの理由(住所の不備など)により配達ができず、差出人の記載もないので還付も出来ないという状況で、郵便局としては取扱いが非常に難しい郵便物の1つです。

 

還付不能になる原因

さまざまなブログで「住所の間違い」「達筆すぎて読めない」「転居届の期間を過ぎた」などの理由を挙げられてますが、それはあくまで還付になる理由であって還付不能になる原因は差出人が自分の住所と名前を書いていないというのが原因です。

還付不能は、あて先と差出人の2つの情報に間違いや未記載があって発生します。

 

問題の本質と防止策

還付不能郵便の問題の本質は、差出人の住所を書かない人が多いという事です。
本来、「還付不能」というのは、差出人が自分の住所と名前さえ書いていれば発生しません。

郵便法的には差出人の記載義務はありませんが、一般常識として差出人を書くべきだと思いますし、あて先の書き間違いなどの不測の事態が起こる可能性もありますので、出来るだけ差出人を記載してください。

最近ではフリマアプリの普及もあり、普通郵便で差出人を書かない「セルフ匿名」にて商品を発送し、トラブルになっているケースが多発しております。

セルフ匿名で還付不能になると、郵便物が見つからない場合もありますし、探すまでに無駄な手間と時間と費用がかかります。
何より商品を楽しみにしている受取人にも迷惑をかける事になり、評価にも悪い影響がでる可能性が高いです。

差出人が自分の住所と名前を記載するだけで、還付不能という最悪の事態だけは簡単に回避できます。

 

郵便法

郵便法には「還付不能の郵便物」について、以下のように記載されています。

第四十一条(還付不能の郵便物)
差出人に還付すべき郵便物で、差出人不明その他の事由により還付することができないものは、会社において、これを開くことができる。

○2 前項の規定により開いても、なお配達することも還付することもできない郵便物は、会社において、これを保管する。

○3 前項の規定により保管した郵便物で有価物でないものは、その保管を開始した日から三箇月以内にその交付を請求する者がないときは、これを棄却し、有価物で滅失若しくはき損のおそれがあるもの又はその保管に過分の費用を要するものは、直ちにこれを売却し、その売却代金の一割に相当する金額をもつて売却手数料に充てた上その残額を保管する。

○4 前項の規定により売却された有価物以外の有価物及び同項の規定により保管される売却代金は、当該郵便物の保管を開始した日から一年以内にその交付を請求する者がないときは、会社に帰属する。


 

郵便法に基づく対処

上記の郵便法に基づき、還付不能郵便に取扱いについて分かりやすく解説します。

還付不能な郵便物を出来るだけ配達・還付する為に、還付不能と判断したら開封して中身を確認します。
開封後にあて先や差出人と思われる情報があれば、確認後に郵便物を還付します。

開封してもあて先や差出人の情報がない場合、有価物でなければ3か月間保管します。
保管期間中に、該当となる還付不能郵便物を請求する者がいなければ破棄します。

有価物で滅失若しくはき損のおそれがあるもの、又はその保管に過分の費用を要するものは保管後に売却されます。
売却代金の1割を売却手数料に充て、残額を保管します。

売却代金は、当該郵便物の保管を開始した日から1年間保管されますが、期間中に該当となる還付不能郵便物を請求する者がいなければ日本郵便に帰属されます。

 

還付不能郵便を探す方法

受取人から郵便物が届かないと連絡があり、さらに差出人を記載していなかった場合、確実に還付不能郵便になっていますので、すぐに受取人の住所を管轄とする集配局へ連絡してください。
(差出人の最寄りの郵便局からでも郵便物の調査依頼は可能)

集配局が不明な場合、受取人に最寄りの集配郵便局を教えてもらうか、郵便番号から検索すれば見つける事ができます。

差出人が担当の集配局に連絡し、封筒の形状や色などを伝えて還付不能郵便を調査してもらってください。
調査と言っても1通や2通の中から探すわけではなく、大量の還付不能郵便の中から探すのである程度の時間がかかります。
見つからない場合も多いので、確実に見つかるとは言い切れません。

こういう最悪の事態を避けるためにも、一般常識として差出人の住所と名前は記載したほうが望ましいです。

参考

日本全国の集配郵便局については、下記の記事を参考にしてください。
全国の集配郵便局一覧(地方別)

 

よくある質問と回答

[prpsay img=”https://stamp.yuubinya.com/wp-content/uploads/2019/10/huki-hatena.png” name=”葉書野 ウラ”]「還付不能郵便」に関するよくある質問と回答です。[/prpsay]

還付不能郵便は、差出局と配達局のどちらで管理されますか?

基本的に配達局で保管・管理されますが、一部例外もあります。


還付不能郵便物の開封は、すぐ行われますか?

局や担当者により異なりますで、一概に「○○日後です」とは言えません。
明らかに「還付不能」だと判断したら、即開封する事もあります。


還付不能って多いですか?

結構な通数があります。
保管庫も日々増えていく一方なので、保管するだけでも大変です。


開封後に差出人の情報があれば、郵便物は返還されますか?

差出人と判明すれば還付されます。


開封した後に差出人に還付する場合、「開封しました」などの説明はありますか?

局により書式は異なりますが、「郵便法に基づいて開封しました」的な小さい紙が貼付または同封されています。


差出人を記載しない事は違法ですか?

違法か違法じゃないかで言えば、違法ではありません。
自分あてに差出人の記載されていない郵便分が届いた場合、開封を躊躇すると思いますし、個人売買であれば尚更です。
自分の住所を知らせたくないのであれば、サービスとして提供されている「匿名配送」を利用してください。
セルフ匿名はトラブルの根源です。


 

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