元郵便局員が教える!危険物の国際輸送における特別規定と記号一覧

特別規定とは?

特別規定(Special Provisions)が適用される貨物は、危険物申告が不要となります。
特別規定が適用される場合は、IATA/DGR(8.2.6)の規則に基づき MAWB にNot restricted, as perSpecial Provision Axxxと記入する必要があります。
※MAWB=航空会社が発行する航空貨物の受取証

「Not restricted, as perSpecial Provision Axxx」の「Axxx」の部分は特別規定の記号といい、内容品により記載する記号が異なりますので、特別規定の記号の種類と意味について解説します。
※A=AIRの意味です


特別規定の記号一覧


  • A101
  • 硝酸尿素が水及び無機質の不活性物質により不活性化されたものは、硝酸尿素の含有率が75質量%を超えないものであつて、かつ、危険物輸送に関する国連勧告に従って試験を実施し、火薬類に該当しないものであること。

  • A102
  • アルミニウム浮き滓、アルミニウム鉱屑、使用済み電極又は電解漕、アルミニウム塩鉱滓等を含むものとする。

  • A103
  • 次に掲げる基準を満たすものは、輸送禁止物件に含まれないものとする。
    1)引火性、非毒性液化ガスの含有量が100g未満であること。
    2)引火性液化ガスが冷凍機器類の部品内に収納されていること。
    3)部品は機械の運転圧力の少なくとも3倍の圧力に設計され、試験されていること。
    4)冷凍機器類が液化ガスを包含するように設計、製造されており、通常の輸送状態の下で圧力を保持する部品が破裂したり、割れ目ができる危険性がないものであること。

  • A104
  • 副次危険性を表すラベルMを貼付することができる。

  • A105
  • 顆粒状、粒状、丸薬状、錠剤状、薄片状等に成形されている場合は、輸送禁止物件に含まれないものとする。

  • A106
  • 当該物件は、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約の中で試料とされている化学サンプルに限るものとし、国土交通大臣又は同条約により設立される化学兵器の禁止のための機関の承認を要する。

  • A107
  • 1)機械又は装置の内部に、残留物又は構成物として少量輸送許容物件を有するものに限ること。
    2)他に品名が明示されている機械又は装置を除く。

  • A108
  • 等級が1のものは、「A1」の規定に従うこと。

  • A110
  • 30%以上の非揮発性、非引火性の安定剤を含有するものは、輸送禁止物件に含まれないものとする。

  • A111
  • 有効期間を過ぎたもの、使用不能のもの又は使用済みのものは、輸送を禁止する。

  • A112
  • 高圧ガス(非毒性のエアゾールに限る。)、引火性液体(等級が2又は3のものに限る。)、毒物(等級が3のものに限る。)又は国連番号が3077、3082若しくは3175のものであつて、かつ、副次危険性を有していないものに限る。旅客機による輸送が禁止されているものは、日用品として輸送してはならない。

  • A113
  • 当該物件の分類又は区分及び等級は、国連の危険物輸送試験及び備考1による等級の判定を実施することなく、過去の実績等に基づき適切に決めることができる。

  • A114
  • 高圧ガスが充てんされた衝撃吸収装置であつて、次に掲げる条件を満たすものは、輸送禁止物件に含まれないものとする。
    1)1.6リットル以下のガス空間容積で、かつ、280バール以下の充てん圧力であつて、容積と充てん圧力の積が80を超えないこと。
    2)0.5リットル以下のガス空間容積のものの破裂強度は、20℃における封入圧の4倍以上であること、又は0.5リットルを超えるガス空間容積のものの破裂強度は、封入圧の5倍以上であること。
    3)破壊された場合に、破片を生じない材料により作られていること。
    4)国土交通大臣が適当と認める品質保証基準に適合していること。
    5)火災の場合に、熱分解するシール又はその他内部圧を除去する装置により破裂しないように措置されていること。

  • A115
  • 危険物輸送に関する国連勧告に従って試験を実施した場合、当該物件が爆発しないもの又は当該物件の外装、圧力容器が破裂しないもの若しくは飛散の危険性がなく、消火作業その他の緊急時対応作業を著しく妨げるような熱の影響がでないものであること。

  • A116
  • 火薬類に該当しないものに限ること。

  • A117
  • 1)人間や動物の医療処置又は生物学的研究による廃棄物であって、病毒を移しやすい物質が存在しないと推定されるものに限る。
    2)病毒を移しやすい物質の存在が疑わしい場合は、国連番号が2814又は2900の物件として当該規定に従って輸送すること。また、生物由来物質(カテゴリーB)又は病毒を移しやすい物質を含む可能性が低い場合は、国連番号が3291の物件として当該規定に従って輸送すること。
    3)病毒を移しやすい物質を除去したもので、他の分類又は区分に該当しないものは、輸送禁止物件に含まれないものとする。

  • A118
  • 火薬類に該当する物件は、車両から取り外し、火薬類の技術上の基準に従って輸送すること。ただし、火薬類以外に該当する組立部品の一部である場合又は恒久的部品として装備されている発煙筒若しくは車両に装備されたエアーバッグモジュール、エアーバッグインフレーター及びシートベルトプレテンショナー等を除く。

  • A119
  • 旅客機以外の航空機で輸送するための器財であつて、1,000kg(包装込みの質量)を超えないものについては、旅客機以外の航空機で輸送することができる。

  • A120
  • 当該物件は、自動車、オートバイ、航空機、ボート、スノーモービル及びジェットスキーを含むが、それらに限定しないこと。

  • A122
  • 0.5g以下のニトロセルロース製メンブランフィルターが製品又は密閉された包装に内蔵されている場合は、輸送禁止物件に含まれないものとする。

  • A123
  • 1)当該物件は、他の品名に該当しない蓄電池(例えばアルカリマンガン、亜鉛炭素、ニッケル水素及びニッケルカドミウムのバッテリー)に適用する。
    2)短絡又は不測の作動を防止する措置がとられておらず、危険な熱を発生させる可能性のある電池又は電池を動力とする機器、装置及び車両は、輸送を禁止する。
    3)輸送の書類には、この規定により輸送する旨記載しなくてはならない。

  • A125
  • 1)「耐風マッチ」とは、摩擦に敏感な点火薬と火工品で混合されたものであつて、小さい炎又は炎を出さないで燃焼するが、強度の熱を生じるマッチのことをいう。
    2)「安全マッチ」とは、箱、本、カードと組み合わせ、又は一体となったもので、薬の塗ってある表面による摩擦によってのみ点火することができるマッチのことをいう。
    3)「万能マッチ」とは、固い表面との摩擦によって点火することができるマッチのことをいう。
    4)「ろうマッチ」とは、薬の塗ってある表面又は固い表面のいずれかに摩擦することによって点火することができるマッチのことをいう。
    5)耐風マッチ及び万能マッチは、輸送を禁止する。

  • A128
  • 水反応可燃性物質に該当するものを除く。

  • A129
  • 燃焼性物質が0.2%以下で、濃度が80%以下の硝酸アンモニウムの水溶液は、輸送禁止物件に含まれないものとする。

  • A131
  • 1)殺菌装置であつて、内装容器1個当たり30ml未満、かつ、外装容器1個当たり300ml以下の場合は、第24条(同条第1項ただし書きに係る部分を除く。)に規定する技術上の基準に従って輸送することができる。ただし、充てん後、熱湯の入った浴槽に入れ、55℃での内圧が酸化エチレンの蒸気圧と等しくなる温度までの間、漏えいしないことを確認すること。
    2)全ての内装容器が破損又は漏えいした場合、酸化エチレンといかなる反応も起こさないものであつて、内容量を収容できるプラスチック袋に入れて密閉すること。ただし、ガラス製内装容器に収納する場合は、当該容器が損傷等を受けた場合でも、プラスチック袋に穴が開かないように措置されていること。

  • A132
  • 腐食性の発煙物質を含む場合、副次危険性を表すラベルQを貼付すること。

  • A133
  • 当該物件の輸送は、国土交通大臣の輸送承認を要する。

  • A134
  • 燃料電池機関を動力源とする車両及び機械は、車両(引火性ガスを燃料とする燃料電池を動力源とするもの)、車両(引火性液体を燃料とする燃料電池を動力源とするもの)、燃料電池機関(引火性ガスを燃料とするもの)又は燃料電池機関(引火性液体を燃料とするもの)として輸送すること。また、この他の車両であって内燃機関を動力源とするもの(湿式電池、ナトリウム電池又はリチウム電池とともに内燃機関を動力源とするハイブリッド自動車であって、これらの電池を装着した状態で輸送されるものを含む。)は、車両(引火性ガスを燃料とするもの)又は車両(引火性液体を燃料とするもの)として輸送すること。

  • A136
  • 輸送中は、直射日光を避け、風通しが良く涼しい全ての熱源から隔離された場所に積載すること

  • A137
  • 毒物のうち蒸気の吸入毒性の等級が1に該当するものを除く。

  • A138
  • 砕けにくい錠剤状で輸送される次亜塩素酸カルシウム(乾性)に限る。

  • A140
  • 1)第17条で定める書類の品名には、物質名による補足を行うこと。
    2)病毒を移しやすい物質(人体又は動物に対し伝染性があるものに限る。)に該当すると推定される場合は、第17条で定める書類の品名の後に、その可能性がある旨の文言を表示すること。

  • A143
  • 当該物件は、常時水素を含有しているものとして取り扱わなければならない。

  • A144
  • 航空機乗務員によって使用される化学酸素発生装置は、備考3に定める「565」によるほか、次に掲げる条件を満たす場合に限り、「A1」の規定を適用せず旅客機により輸送することができる
    1)使用可能なこと及び未開封容器に入っているもの。
    2)耐空性審査要領又は運航規程に定める数を補完する必要がある場合については、運航者又はその代行者により輸送すること。
    3)一包装あたり2個までとすること。
    4)第17条で定める書類及び包装物上の表面に、備考2に定めるA144に応じた航空機乗組員用呼吸器具を意味する文言を表示すること。

  • A145
  • 廃棄のエアゾールは、輸送を禁止する。

  • A146
  • 1)当該品名は、引火性液体(メタノール又はメタノール水溶液を含む。)を収納している燃料電池用カートリッジ(燃料の供給を制御する弁を介して燃料電池を電源とする装置に供給する燃料を収容している容器)に適用する。
    2)燃料電池用カートリッジは、通常の輸送の間に燃料を漏えいせず、容器に入れない状態で100kPa(ゲージ圧)での内圧試験に合格するように設計、製造されたものでなければならない。
    3)国連番号が3479の物件を除いて、燃料電池用カートリッジは、1.2mの高さからの落下試験を行い、損傷及び内容物が漏えいしないよう設計・製造されたものでなくてはならない。
    4)リチウム電池が含まれている場合は、当該品名に応じた技術上の基準のほか、リチウム金属電池及びリチウムイオン電池のそれぞれの技術上の基準にも従って輸送すること。

  • A150
  • 備考5により副次危険性を表すラベルの貼付を要求されているものがある。

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