特約契約の結び方について
解説しています。
目次
特約運賃契約
特約運賃契約について、少し説明をします。
特約運賃契約は、通称「特約(とくやく)」と呼ばれていて、一定の条件を満たす事で通常より安い金額で荷物を発送する事ができます。
(以下、特約または特約契約と記載)
特約運賃の種類
特約にも色々な種別がありますが、基本的に大きく分けると以下の2種類になります。
- 中小口契約
ゆうメール:年間の差出予定個数 500 – 500,000
ゆうパケット:年間の差出予定個数 500 – 500,000
ゆうパック:年間の差出予定個数 200 – 500,000
- 大口契約
ゆうメール:年間の差出予定個数 500,000 以上
ゆうパケット:年間の差出予定個数 500,000 以上
ゆうパック:年間の差出予定個数 500,000 以上
大口契約になると年間の差出個数が大手企業やデパートなどじゃないと難しい数字なので、個人で特約を結ぶのであれば中小口に該当します。
最低個数も契約内容や承認局により、若干の違いはあります。
特約運賃が可能なサービス
特約運賃契約を結ぶ事で送料が安くなりますが、普通郵便などは対象外となります。
特約を結ぶと、以下のサービスにて料金が安くなります。
- ゆうメール
- ゆうパケット
- ゆうパック
上記以外のサービスに、特約契約は適応されません。
普通郵便やEMSは、特約ではなく大口割を利用することで若干安くなります。
特約契約と料金別納/後納契約の違い
特約契約と別納/後納契約を混同される方がいらっしゃいますが、基本的に全く別です。
- 特約契約
特別運賃の契約
- 別納/後納契約
支払い方法の契約
特約を結ぶ際に、料金後納契約をしないといけないケースもありますが、基本的に全く別の契約なので、料金別納の特約契約を結ぶことも可能です。
参考
料金後納については、下記の記事を参考にしてください。
元郵便局員が教える!料金後納の審査条件と失敗しない申請方法
特約料金の算出方法
特約を結ぶ際、料金の算出基準のベースは年間の差出予定個数で決められます。
基本的に「運賃算出ツール」というものがありますので、それに従って算出されます。
あくまで「運賃算出ツール」で算出される金額は、基準となるベース金額です。
基準となるベース金額を基に、局単位で異なる独自のルールや局の営業状態が加味された上で、最終的に見積もりが作成されます。
日本郵便とヤマト運輸の算出方法の違い
日本郵便の場合、配達員や集荷担当者に相談しても、上司に1つ1つ確認したり許可を必要としますし、その上司も支社に確認や許可を得る必要があります。
スムーズに進まない事があったり、1つの事で時間がかかる事があります。
ヤマト運輸の場合、配達担当者がタリフ表とハキダシ表を持っている事がありますので、その場でおおまかな料金がわかります。
タリフ=定価の運賃表、ハキダシ=個数に応じた値引表です。
料金を安く交渉する方法
他のブログでは、「料金を安くするために年間の差出予定個数を多めに伝える」とか「目標個数を達成しない場合は差額を払う」という事を紹介されてますが、差額を払うというのは出来ない交渉ですし、年間の差出個数の過剰宣告は一番危険な方法です。
基本的に、契約初年度は1年で料金の見直しがあります。
初期の申告時と大幅に差がある場合、当然のことながら料金の見直しという事になります。
その場しのぎの交渉は、後々自分の首を絞めるだけなので、上記以外の方法で料金を安く交渉する必要があります。
よく使われる交渉としては、以下になります。
- 一定サイズ以上の切り捨て
自分で発送する荷物が比較的小型の場合、大型のサイズは必要ないので切り捨てするという方法。
小型の荷物は、輸送コストが安いので単価を下げやすいというのもありますし、実際に一定サイズの切り捨てしてる事業所は多いです。
こちらの記事でも紹介してるJAも、120サイズ以上になると料金が極端に上がります。
- 集荷不要
近くに郵便局がある場合、「集荷不要で持込みしますので安くしてください」というのは効果大です。
発送のたびに持ち込み出来るのであれば、是非!交渉の時に使ってください。
この項目は、2018年6月末で集荷廃止となりますので、ゆうメールやゆうパケットをゆうパックにして、発送個数そのものを増やして値引きするのが一番良いと言えます。
- 複数契約
ゆうパック、ゆうパケット、ゆうメールの発送予定がある場合、複数契約をします。
その中で、一番利用頻度があるサービスの運賃を安くしてもらって、他のサービスを規定額で契約する方法。
過剰申告のない範囲で交渉してください。
- サイズ別に仕分け
本来はお客様がやるべき事ですが、特に量が多いと郵便局側の作業が多くなりますので、きちんとサイズ別に分けて差出する事を約束すると考慮される場合もあります。
- 区分分け
差出区分ごとに仕分けできる知識があれば、差出区分ごとに区分分けした上で発送すると安くなります。
これは郵便の大口割でも適応される方法なので、荷物でも効果的な手段ではありますが、区分分けの知識が必要となります。
NGな値引き行為
上記にも記載しておりますが、年間の差出個数の過剰申告はNGです。
その場しのぎでは通用するかもですが、1ヵ月で荷物の個数は露呈しますし、1年後は間違いなく大幅値上げになります。
色々なブログにも特約の値引き方法を紹介されてますが、総じて鵜呑みにして実行するのは避けるべきです。
否定はしませんが、実行して責任を負うのは実行した本人となりますので、情報の見極めは非常に大事です。
その中でも他社との比較を推薦してるサイトが多々ありますが、他社との比較は使えません。
以前は、ヤマトから日本郵便に変更した際に料金を合わせる事もありましたが、今は金額を合わせる事はないです。
日本郵便もその辺は足元を見ますので、「うちでは難しいので、ヤマト運輸でお願いします」と、あっさり断られます。
物量の大幅増加、人手不足、集荷先の見直し、特約料金の値上げなども増えていますので、利益のない難しい特約契約は断られる事が増えてます。
付随サービス
全ての特約に適応されるわけではりませんが、交渉次第では発送用の宅配袋を用意してくれる局もあります。
印字用のラベルの無料配布、差出票の印字作成、荷札シールの無償提供、ファイバーの貸し出しなど、色々と特約に付随するサービスがあります。
あくまで局単位で独自にあるサービスなので、全ての局が行ってるわけではありません。
交渉時に担当者に確認してください。
特約の契約までのフロー
特約契約をする際、他のブログなどは「電話して家に来てもらう方法」を紹介する情報が多いですが、個人での契約であればオススメしません。
実は、この初動が凄く大事な選択肢でもあり、以下に紹介する2つのケースがあります。
自宅にて交渉する
その際に簡単な説明がありますので、個数や料金を元に交渉してください。
郵便局に出向いて交渉する
現場を全く知らない営業は数字のみで判断しますが、現場の人間のほうが細かい気配りしてくれますので、細かい交渉を行いたい場合、間違いなく郵便局に出向いて交渉する事を推奨します。
小口であればある程ほど、出向いた方が良いです。
ご注意
基本的に、特約を承認した郵便局からのみ特約料金で発送する事ができますので、日本全国どこからでも発送できるわけではなく、承認郵便局以外から発送する場合、通常料金となりますのでご注意ください。
特約の承認が貰える郵便局は、個人の場合は住所、会社の場合は会社の住所を管轄する郵便局になります。
特約に限らず、別納・後納契約も同様です。
荷物を全く出さない場合、悪質な発送方法(ゆうメールで商品や信書を送るなど)、郵便局との契約上違反があった場合、特約運賃解約通知という郵便物が送付されて、契約を解除される事がありますので、くれぐれもルールは守りましょう。
追記:特約契約の現状
集荷廃止や値上げラッシュなど、利用者としては喜べない話題が多い郵便局ですが、特約契約に関しても同様です。
以前みたいに、比較的緩い条件で契約することが難しくなり、初期契約時はそんなに過剰な値下げした契約は難しいです。
ゆうパケットの特約だと、クリックポストのほうが安いなんてよくある話です。
(2019/4/13追記)
追記:効果的な値下げ交渉
最近よく交渉の際に使われているのが、「持込」と「翌日出し」です。
少しでも料金を安くするためには、郵便局側にも手間をかけさせないというのも1つの交渉カードです。
「荷物は夕方持込みしますし、引受だけしていただければ翌日出しで問題ないので」みたいな感じで交渉してみてください。
個数的な面が問題なく、今まで余程大きなトラブルがなければ、検討くらいはしてもらえると思います。
すぐに無理だとしても、次回更新時に対応してくれるかもです。
(2019/5/6追記)
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